水月雨の新製品
水月雨(MOONDROP)がまた低価格帯のイヤホンを発売。もちろん即ポチった。届いてからしばらく使ってみたので、久しぶりにイヤホンのレビューを書いていこうと思う。
水月雨(MOONDROP)とは
まだ日本での知名度は高くないと思うので、少し水月雨というメーカーについても解説しておこう。
馴染みのある漢字表記のメーカー名なので、日本メーカーと思うかもしれないが、水月雨は中国メーカーだ。社長は日本文化(オタク文化)が好きで、日本語にも通じているので、日本でも使われている漢字を選んだのかもしれない。
中華メーカーとしては珍しい、素直な綺麗な音を出すイヤホンを作ってくれるため、中国版finalと呼ばれることも多い。昨年発売されたQuarksは、価格に対して音が良すぎるとTwitterでバズり、一時期日本の主要サイトから在庫が消滅した。現在はQuarksの在庫は復活しているので、興味がある人はこちらも確認していただきたい。
もちろん低価格帯だけでなく、高価格帯の製品もあるのだが、筆者はまだ購入できていないのでそちらについては分からない。ネットでの情報を見る限り、どれも非常に評価が高いので購入したいとは思っている。
MOONDROP CHU
発売されたイヤホンは、CHUという20ドルの低価格帯イヤホン。漢字表記だと「水月雨 竹」といったところだろうか。CHUというのは竹という字の中国語読みらしい。ちなみに、イヤホンの素材に竹は使われていない。馬鹿みたいにドライバーを増やしまくっているメーカーが多い中、CHUは10mmのドライバー一つしか搭載していない。このシンプルな構成を低価格でどう調理したのか。非常に楽しみだ。
開封
SHENZHENA Audioで購入したところ、2週間もかからずに届いた(たぶん。正確には覚えてない)。パッケージは20ドルのイヤホンにしては豪華に見える。描かれているのは竹取物語のかぐや姫をイメージしているのだろうか。
開けるとスポンジで梱包されたイヤホン本体が見られる。Quarksもそうだったが、MOONDROPは低価格でも丁寧に梱包されていて開封が楽しい。
全部出した。中身はイヤホン本体、イヤーピース、イヤーフック、収納ケース、紙。
観察
イヤホン本体は亜鉛合金でできていて、安っぽさはない。ハウジングは楕円形なのでよくフィットするということはないが、コンパクトで耳への収まりはいい。
ケーブルは太目で半透明なタイプ。少しゴムっぽい感じで、耳掛け式という形状も相まってよく絡まる。数年経ったら加水分解しそうな気がする。もちろん低価格帯なのでリケーブルはできない。
イヤーピースは上位モデルにも使用されている清泉-Spring Tipsが付属していた。柔らかめだが、適切に補強が入っているのでフィット感は高い。共振を抑えて高音が... っていうのはよく分からない。
音
音場
音のレビューをする際に、最初に音場について書くというのはどうかと思うが、聴き始めて最初に驚かされた項目なので最初に書こうと思う。
音場は広いというよりも明白であるという表現が相応しいだろう。こんなにはっきりと音場というものを感じられるイヤホンは初めてかもしれない。明らかに20ドルのイヤホンで感じられるものではない。
高音、中音
高音、中音は素材そのままといった印象だ。楽器もボーカルも原音に忠実に鳴らそうとしてくれているような気がする。ドンシャリイヤホンや艶っぽいfinal E3000などと比べると特徴のない音だと思うかもしれないが、悪い音ではない。
低音
低音は安っぽさはないが、ある程度音量を上げないと行方不明になりそうなほど控えめだ。曲によっては迫力が足りないと感じる。
合う曲
独白/DUSTCELL
youtu.be明白な音場表現、忠実な中高音域のおかげで、空気感まで伝わってくるようだ。EMAさんのボーカルとの相性も良いのだと思う。
ただ声一つ/ロクデナシ
youtu.beボーカルが前面に出てきて聴きやすい。しかし、楽器の音も綺麗で、後ろで踊っているような楽しさがある。とりあえず語彙力が足りないことが分かった。
君の脈で踊りたかった/ピコン
youtu.beギターやシンセなどの近代的な音は少し解像度が低く感じるからか、ボカロ曲には合ってないように感じた。しかしこの曲は良い感じに聴けた。やはり落ち着いた暗めの曲が合っている。
クロイツェルソナタ/ベートーベン
凄く良い。目を瞑って聴けば、ヴァイオリンとピアノがどの辺にあるか想像できてしまう。触発されて小説を書いてしまいそうだ。
問題は価格
筆者はSHENZHENA Audioで2500円ほどで購入した。送料が無料だったので、本体の品質も考えればかなり安く感じる。しかし、日本で正規販売される際の価格は4000円前後と、かなり高くなってしまっている。日本には実売4000円で買える強敵、final E3000がいるため、少し厳しいかもしれない。
仮に他人にどちらか1本をすすめるとするとCHUとE3000のどちらを勧めるだろうか。個人的な好みではE3000を選びたいところだが、E3000はドライバのハンダ付けが雑で断線しやすいという持病があるのでCHUを勧めると思う。20ドルのイヤホンが4000円で販売されるというと高いと感じるが、筐体の高級感も、音質もその価格帯で十分勝負できるレベルだろう。